わたくし、政略結婚いたします!?
……わからないけど、何か理由があって私をこの部屋に寝かせたのだとしても、こんなに大きなお屋敷だ。
他にいくらでも部屋はあるのだから、レナルドもちゃんとしたベッドで休めばいいのに。
「……寝顔、初めて見た……」
たしか、20歳と言っていた。
常に周りに対して気を張っているからなのか。
その大人びた表情からなのか。
いつもはもう少し上に見える。
……だけど、今は。
無防備であどけない寝顔は、まるで穢れを知らない少年のようだった。
こんな姿を見られるのはきっと限られた人間なんだろうな、とか。
自分もそのうちの一人なんだ、とか。
……そんなことを考えていたら。
自分でも無意識のうちに、レナルドのサラサラとした綺麗なブロンドの髪に手を伸ばしていた。