わたくし、政略結婚いたします!?
「お母さん…?」
シン、と静まり返った部屋。
もう母が息をしていないのは分かっていたが、呼びかけずにはいられなかった。
バラバラ、と全財産の入った袋を開け、中身を床に出した。
数少ない硬貨がこぼれ落ちる。
「あは…。これしかない…。これじゃ…」
なんにも、できないね…。
涙で、視界が滲む。
ぽた、とこぼれ落ちたそれは、床に沁みを作った。
ああ。
これじゃあ、母を弔うことすらできない。
人の死にすら税金を課すこの国は、葬儀に莫大な費用がかかるんだ。
病人の母に、生きているときは治療どころか満足な食事もさせてあげられなかっ
た。