人魚の声は繰り返す【短編】
あとがき
彼はこの先もずっとひとりきりで
ずっとふたりきりでいるのだろう。
題目 【ひとりとふたりの境目】
□ ■ □ ■ □
近未来。
妻にと考えていた女性に先立たれてしまった青年は、やがて壮年を迎えた。
彼は孤独であった。
そして老人となり、世間にまで置いていかれた。
そんな中見つけた、1人を忘れられそうな、贋作の希望。
震える手で[設定]していく。
余生短い彼は、自分の首を締める勢いでやりきった。
青年で止まっていた自分の時間は、止まりながらも動き始めたのだ!
……それから、彼の借金は返済されなかったのである。きっと。