Fairy And Rose
「良く似合うわ、アトール!」
「ありがとうフリージア」
フリージアは作り上げた外套を、アトールにプレゼントした。
白かった外套は何故か黒く変色し、艶やかな光沢が照っている。
その色具亜が程よくアトールの白髪と赤い瞳に合っていた。
「…僕、大切に大切にするからね」
肩にかけられた外套を抱きしめるように掴むと、嬉しさで涙がこみ上げるアトールの目は潤み、情けない声が出た。
「まぁ、泣かないでアトール」
アトールの頬を優しく撫でるフリージアの手は、細く小さい。
人間サイズに大きくなっていたフリージアの体は、時間が経つに連れ元の大きさに戻った。
黒い力が完全に抜け出たのだ。
そしてアトールも、一度魂が抜けた事で弱っていたが
物凄い早さで回復し、今では前より元気になっていた。
それは、アトールが白蛇の化身であるから。
一度、魂が抜けた事で
より白蛇の存在に近くなったのだ。
しかしそんな事は、誰も知らない。