Fairy And Rose




「良く似合うわ、アトール!」

「ありがとうフリージア」


フリージアは作り上げた外套を、アトールにプレゼントした。

白かった外套は何故か黒く変色し、艶やかな光沢が照っている。

その色具亜が程よくアトールの白髪と赤い瞳に合っていた。





「…僕、大切に大切にするからね」




肩にかけられた外套を抱きしめるように掴むと、嬉しさで涙がこみ上げるアトールの目は潤み、情けない声が出た。



「まぁ、泣かないでアトール」




アトールの頬を優しく撫でるフリージアの手は、細く小さい。

人間サイズに大きくなっていたフリージアの体は、時間が経つに連れ元の大きさに戻った。
黒い力が完全に抜け出たのだ。





そしてアトールも、一度魂が抜けた事で弱っていたが
物凄い早さで回復し、今では前より元気になっていた。



それは、アトールが白蛇の化身であるから。

一度、魂が抜けた事で
より白蛇の存在に近くなったのだ。


しかしそんな事は、誰も知らない。



< 13 / 23 >

この作品をシェア

pagetop