Sion
優愛は長い指でストローをパキッと折る。
「…ふーん。親友で幼なじみの女の子と好きな男の子が二人っきりでね…」
『私…逃げっちゃったんです、これ以上見たくなくて』
律花が那由汰のことを好きとは限らない。
律花は那由汰のことを嫌い、苦手と口癖のように言っていた。
不安に思うことなんてない。
律花が希愛に嘘をついたことなんて一回もないことなのに。
それでも心は不安を抱いていて…。
『もし…あの子が彼のこと好きだったらって…』
そればかり考えてしまっている。
優愛はしきりにストローを指で折っている。
頬杖を付いている姿もとても綺麗だった。
「…ごめん、私にはわかんない」
『…そう…ですよね…』
「私、何でも手に入れたいの。親友と好きな人が一緒でも…絶対譲らない。友達の彼氏でも…奪ってく」
とても強い言葉に希愛は目を丸める。
『…仲が悪くなってもいいんですか…?』
「私は一人でいたもの。二人から一人になったって何も変わらない。私にとって友達よりも好きな人のほうが大事なのよ」
希愛とは正反対だった。
だからかもしれない、そんな優愛が格好いいと思った。