Sion
優愛は別に気にしていないようで、『別にいいよ』と微笑む。
「テレビにまだ出てないもの。でも、もうすぐテレビに出るの。きっと…売れてみせるわ」
自信満々に話す優愛
とても格好よくて、その顔から本当に音楽が好きなのだと感じた。
「実はね、あなたのその制服…私の彼と同じ学校のなの」
クスリと優愛が笑う。
希愛はえ?と目を丸めた。
『そう…なんですか…?』
「えぇ。『奏 那由汰』って言うんだけど…知ってる?」
その名前を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。
どうして…うまくいかないんだろう。
どうして…思い通りにならないんだろう。
それが『恋』だから。
そう言うけど…自分には耐えれなくて…
優愛の前だというのに、気づけば涙が頬を伝っていた―――。