Sion
何も望んでいないはずだった。
ただ、傍にいて欲しい。
居なくならないで欲しい。
ただ、それだけを望んだ。
なのに―――
胸の奥にある想いはそうではなかったみたいだ。
もっと近づきたい。
もっと傍にいたい。
もっと……
この想いを抱かなければ、こんなに辛くなかった。
今までどおり、大丈夫だと強がりを言えたのに。
どうやら、希愛はもう強がりを言えなくなってしまったみたいだ。
那由汰といることが、こんなにも希愛に安らぎと幸せを与えている。
今…那由汰はどう思っている?
学校を休んでいる希愛を心配してくれているだろうか。
それとも…