Sion
目を開けると、窓から見える景色は夕焼けの色に染まっていた。
とても綺麗な景色なのに、とても悲しい気持ちが希愛の感情を占めていた。
休んでから何度この景色を見て、泣きそうになっただろう。
大切な律花を避けている、自分のせいなのに―――。
今日もまた、ピンポーンッ!とインターホンが鳴る。
希愛は耳を手で押させ、聞こえないふりをした。
まだ、律花に会えない。
会ってどうすればいいか分からない。
会ったら傷つけてしまうかもしれない。
それだけは絶対に嫌だった。
しばらくして、チャイムが止む。
そのことに希愛は静かにほっと安堵を洩らした。
でも、気持ちは悲しいままだった。
誰にも相談できない。
幼馴染である、律花にも会えない。
学校にもいけない。
那由汰に会ったとき、どんな顔をすればいいかわからないから。