Sion
律花は少しむっとした表情で話し出す。
「体育祭の時、聞いたの。『希愛のことをどう思ってるの?』って」
その言葉に希愛は目を丸める。
二人の間でそんな会話があったのなんて知らなかった。
「あいつは…『好き』って言ったの。でも…なんかワケありっぽかったから放課後聞いてただけ」
『それは…』
希愛はその先を聞こうとした。
だが、律花の手が希愛の口を塞ぐ。
「本人に聞いて。あたしから話すことじゃない。これだってあたしのお節介だったんだから」
それでも希愛は気になった。
律花が那由汰から何を聞いたのか。
好奇心からではない。