Sion
だけど、律花がいて、湖季がいて。
そして…那由汰がいて、世界が変わった。
希愛の伝えたいことをちゃんと理解してくれる。
それがとても嬉しくて、自然に一緒にいたいと思えた。
三人と出会わなければ…今の希愛は居ないだろう。
誰一人かけては、こんなふうに乗り越えられなかった。
「律花…ありがと…」
本当に感謝しきれない。
何度、お礼を言っても足りない。
律花は今度は恥ずかしそうに微笑む。
「…いいって。あたしがしたかっただけなんだから」
「でも…律花がいなかったら…こんなふうに…なれなかった」
「…あいつの力だよ、あたしじゃない」
と、悲しそうに微笑む。
「そうえば、伝えたんでしょ?あいつ…なんて言ってた?」
律花は話を戻す。
「『ごめん……もう少しだけ待って』って…言ってた…よ?」
それを聞いて、律花の眉がひそめられる。