Sion




希愛が不思議そうにじっと律花を見つめていると、律花は肩をすくめる。




「体育祭での約束…覚えてる?」




それは今でも覚えている。
湖季が律花のデートの為に3種目3位以内に入賞するという。




「湖季…全部3位以内入賞しちゃったの。だから少し前、二人でデートした。その時に交換したの」




それを聞いて、ぱぁぁっと希愛に笑みが広がる。




湖季は頑張ったみたいだ、律花とのデートのために。
律花のことが気になっていると聞いたとき、驚いた。
だけど、二人はお似合いだと思った。




だから、密かに二人のことを応援していた。
湖季がうまくいったみたいで、嬉しい。




「ついでに希愛に話したいことがあったし、こっちに来てもらうの」




「湖季…さん…私の家…知ってるの?」




「希愛のお見舞いに行くときに一緒に行ったときがあったの。だから、覚えてるはず」




それはいつだろう。
避けていたせいで、窓の外を見ることなんてなかった。




少しだけそのことに後悔する。



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