Sion
二人の出会い
湖季と那由汰の出会いは小学4年生の時だ。
那由汰が湖季のクラスへと編入してきたのをきっかけに仲良くなった。
それまで、那由汰は海外で生活していたらしい。
だからだろうか、周りと雰囲気が違っていた。
那由汰に纏っている雰囲気も、空気も誰も持っていないものだった。
那由汰が編入してきた日、家に帰ろうと一人で歩いていると、目の前に歩いていた那由汰に気づいた。
こどもとは無邪気だ。どうして初対面の人にあんなに親しげに話しかけられるんだろう。
それは今でも不思議だ。
『ねぇ、奏くん』
湖季が那由汰を呼ぶと、那由汰はふっと振り返った。
その時、湖季は思わず息をのんだ。