Sion
希愛はきょとんを目を丸め、首を傾げた。
「まさか面と向かってそんなこと言われると思ってなかった」
「…この子の場合、本心で言ってるの。そこまで深く考えて言ってないから」
二人が何を話しているのか、希愛には分からなかった。
分からずに二人をきょとんと見ていた。
湖季は「いや…」と呟き、話を戻す。
「確かにいい奴だよ。ちょっと話しづらいかもしれないけど」
「大丈夫!希愛にはあたしが居るもん!隣の席の人となんて無理して仲良くならなくてもいいよ!」
心配してそう言ってくれる律花に希愛は微笑んだ。
嬉しかったが、首を横に振った。
『大丈夫だよ』
いつまでも律花に甘えてばかりいられなかった。
いつか、離れてしまうだろう。
このまま一緒に居られなくなる。
そうなったとき、どうなるのか希愛には薄々気づいていた。