Sion




律花ばかり頼ってきた、今までの日々
高校では…少しでも頼らないように過ごそうと決めていた。




じゃないと、律花の重荷になる。
それだけは嫌だった。




『律花、私は大丈夫だから…律花がしたいことを優先してね』




そう笑顔で手話をした希愛を少し寂しそうに律花は見た。




「もう…そんな悲しいこと言わないでよ。今、あたしが優先したいことは『希愛』なんだよ?無理なんかしてないから…それだけは信じてね?」




希愛はこくりと頷く。
それを見て、律花は嬉しそうに微笑んだ。
「これで話は終わり」と話を打ち切る。




それと同時に、先生が教室に入ってきた。
湖季と律花は前を向き直し、先生に視線が集まる。




だけど、希愛の隣の席は空っぽ
それに触れず、先生は話をし始め、生徒たちは体育館へと移動した。






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