Sion
声は高めで力強さを感じさせた。
「1歳しか違わないのに、奏さんは凄いですね。ピアノ、とても素敵でした」
「ありがとうございます」
那由汰は言われ慣れているのか、すんなりとお礼の言葉を口にする。
それを感じさせるのに、優愛は不快には思っていないようだ。
笑みを崩さずにそのまま話す。
「話を承諾してくれたと聞き、嬉しかったです。弓弦さんにはとても感謝をしています」
「優愛はまだデビューしてない歌手だけど、その声は本物だと思うんだ。だから、那由汰に一度聞かせてみたいと思ったんだよ」
それを聞き、那由汰の目が変わる。
「…聞かせてもらっていい?」
優愛は嬉しそうに微笑む。
「はい、もちろんです」
優愛は隣の部屋へとコツコツと歩く。
少し高いヒールの音が歩くたびに響く。