Sion
ちゃんと認め、信じている。
陰で応援していて、でもそれをなるべく見せないようにする。
必要なら力になる…兄のような存在にも見えた。
思わず湖季は尋ねたくなった。
「弓弦さんは…彼女のことも那由汰のことも同じように思っているんですか?」
湖季の質問に弓弦は首を傾げた。
『どうだろうな』と頭を掻いた。
「那由汰のことは子供のころから知ってて才能を認めてる。俺の仕事を任せてもいいほどにその才能を信じてる。
優愛はそうだな…妹…みたいな感じかな。実際、妹いるから…そう見えてしまうんだと思う」
「妹さん…彼女に似ているんですか?」
『いや』と首を横に振る。
其の後に『全然違うな』と付け足した。
「妹は強くて大人っぽいけど、ひたむきで心が広い…女の子だけど芯の強い子だよ。
まぁ、でも優愛が妹みたいに思えるってことなんだけどな」
ははっと弓弦は笑う。
湖季も釣られて笑みを見せた。