Sion
久しぶりに仕事をしている二人をみたい気もしたが、このあとは用事があった。
「今日は予定があるんだ」
「そっか…残念。彼女とデート?」
「じゃないけどな」
くすくすと優愛は笑う。
「那由汰から聞いてるよ。湖季、学校でモテるんでしょ?」
「それは那由汰も優愛もだろ。俺だけじゃない」
そういえば…こんなに優愛と長く喋ったのは初めてだ。
そもそも、優愛と二人きりになることなんてなかった。
笑っていた優愛がすっと笑いを止める。
真剣な真っ直ぐな目で湖季を見ていた。
「湖季…少しだけ話せる?二人だけで話したいことがあるの」
珍しかった。
優愛が湖季と話したいと言うのは。
これまで一回もなかった。