Sion
眉間にしわを寄せ、話し出す。
「花澤さんの方がいい。あいつの場合、教える気もないからさ」
「そうなの?」
「あいつは違うことで頭がいっぱいみたいで、俺に勉強を教えるなんて考えてな
いのさ」
と、湖季は苦笑する。
話を聞けば聞くほど湖季とは違う魅力を希愛には感じられた。
どんな人だろうと、見るのが楽しみになっていた。
「生徒代表、奏 那由汰(かなで なゆた)」
「はい」
その声は耳に残る、凛とした綺麗な声だった。
ノイズのかかってない、綺麗な声が耳に吸い込まれる。
この声を希愛はどこかで聞いたことがあるような気がした。