Sion
思い通りにするには何かを犠牲にしなくてはいけないのだ。
那由汰は優愛を犠牲にできない。
もちろん、希愛のことも。
そうなったとき、那由汰は自分を犠牲にする。
那由汰がこれ以上苦しむのは…湖季は嫌だった。
「花澤さん」
湖季は真っ直ぐ希愛を見る。
「那由汰のこと、嫌いにならないでやって」
那由汰は思っているより強くて弱い。
矛盾しているが、本当にそうなのだ。
自分の信じたことをやり続ける強さ
だけど、人間関係のことになるととても弱くもろい。
優愛のことで本当にそう感じた。