Sion
そして、那由汰のことが好きと自覚してから思った。
してもらってばかりでいけないと。
希愛自身も那由汰の為に何かがしたいと。
爽の時には抱かなかったことを抱いた。
希愛は湖季を見る。
「湖季…さん。私を…奏くんのところへ…連れていってください」
湖季は驚いて希愛を見る。
希愛の瞳はとても強かった。
希愛は決意していた。
那由汰が一人で抱えているなら…傍にいてあげようと。
この両手を力いっぱい広げて、支えてあげようと。