Sion
だから…時々羨ましく思う。
「那由汰、別れたくないって言ったら…どうする?」
まだ傍にいたい。
このままの関係でいたい。
そう思っている優愛に那由汰はどんな反応をするだろう。
那由汰の耳がぴくりと動く。
「…どうしたの、急に」
「急じゃない。…ずっと考えてた」
「優愛には好きな人がいるのに?」
その言葉を聞き、優愛は目を丸める。
ははっと力なく微笑んだ。
気づいていた、那由汰も。
気づいていないと思っていたのに…。