Sion
一緒にいる時間が長いのに…そんなこと、あるだろうか。
互いに好きな人がいる。それは本当だ。
でも、気持ちは自分の意志とは反するときがある。
それを那由汰は分かっているだろうか。
「…本気だよ。人の気持ちなんて…他人には分からないでしょ?」
そう優愛が微笑むと、那由汰は黙り込む。
そんな那由汰にこのまま話を続けた。
「那由汰は…私の為に自分を犠牲にしてくたよね?そんな那由汰のこと、ずっと見てた。
申し訳なかった…でも、私は…私の為には那由汰の力を借りなきゃいけなかった」
誰かの力を借りなくては、自分の夢につながらない。
それを痛感させられた。
弓弦の話を聞いたとき、これだと思った。
あとは那由汰が了承してくれればいいと…。
那由汰は思ったとおり、了承してくれた。
それが弓弦の力だというのには気づいていた。