Sion




だから……解放してあげる。




「…那由汰、凄く嬉しかったよ。弓弦さんからの頼みでも、私の為に曲を作るって言ってくれたこと」




それだけじゃない。
那由汰にはたくさんのことをしてもらった。




ここまで成長できたのは那由汰のお陰だ。
感謝してもしきれない。




「でも…那由汰は最近他のことを考えているよね?この仕事をしている間は何も私のことだけ考えて欲しいっていったのに」




その言葉に那由汰は黙り込む。
そんな那由汰に言葉を続ける。




「もうすぐ…私はデビューする。でも、曲ができないんじゃ意味がない」




デビューをする日は付き合う前から決まっていた。
今更遅れさすことはできない。




それに…弓弦だって期待してくれている。
優愛はそんな弓弦の期待を裏切れない。




「那由汰、もう…考えなくていいよ。私は私の力で…歌手になるから。
曲のことは心配しないで。もう…決まっているから」




こう言わなきゃ那由汰は離れようとしないだろう。
一度決めたことは突き通そうとする那由汰だから。





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