Sion
那由汰は優愛の曲を書くつもりなのだ。
それが優愛との約束だったから。
あれが優愛の強がりだと気づいている。
優愛は考えなくていいといったが、那由汰は放っておくことができない。
そんな優しい那由汰を好きになった。
「だから…優愛さんのこと、ちゃんとしてあげて…」
そう言うと、那由汰はふんわりとした笑みを見せた。
「…ありがと。もう少しだけ…まってて。ちゃんと終わったら…伝えるから」
ちゃんと…希愛は那由汰を待っている。
そして信じている。
那由汰が伝えてくれる日が来ることを―――。