Sion
『そんなことより…』と那由汰が希愛に近づく。
希愛が首をかしげると、少し真剣な表情で…
「希愛との約束、果たしてもいい?」
那由汰はふわりと希愛の頬に触れる。
音楽室の窓から入った風がカーテンを揺らす。
カーテンが二人を包むように流れてくる。
「…好きだよ。ずっと…俺のそばにいて…」
希愛は嬉しそうに目を細めた。
希愛の返事は決まっている。
「うん、傍にいて…」
寂しくならないように、
お互いを感じられるように、
ずっと傍にいる。