Sion
シンプルにまとめられていて、だけど落ち着く部屋だった。
「紅茶で良かったかしら」
「あ…お構いなく…」
オープンキッチンで理緒は手馴れた手つきで紅茶を入れる。
希愛はどうすればいいか悩んだが、立ったままじゃいけない気がしてソファに浅く座った。
「…どうぞ」
「あ、ありがとうございます…」
紅茶が運び込まれて、机の上に置かれる。
理緒は紅茶を嬉しそうに口に付けた。
希愛が戸惑いながら紅茶に口をつけると、理緒がゆっくりと話し出す。
「爽が亡くなってもう6年が経つのね…。あなたとも、6年ぶりくらいかしら」
「…はい。あのときから…会っていませんでした…」
理緒と知り合ったきっかけは爽だった。
そして、縁が途切れてしまったのも爽のことがきっかけだった。