Sion
だけど、理緒から聞こえた言葉は意外なものだった。
「…どうして謝るの?幸せなら…それでいいのよ」
その言葉に希愛はパッと顔を上げる。
理緒の表情はとても穏やかだった。
「やっと…顔を上げてくれた」
と、微笑む。
「怒って…ないんですか…?」
「今はね。爽が亡くなってすぐのときは私も…目の前が真っ暗になってた。
誰かを責めることで自分を保ちたかったの。だから…希愛ちゃんに当たってしまった。そのことを謝りたかったの」
「そんな!私のせいなのに…」
理緒が謝る必要なんてない。
理緒がしたことは正しい。