Sion




話は変わって理緒の子どもの話になった。
玄関で見てから、希愛はずっと気になっていた。




「あの子って…爽にそっくりだね」




すると、理緒は嬉しそうに微笑む。




「どんどん似ていっているの。つい…重ねてしまう時があるわ」




それは分かる。
希愛も爽の子どもの頃を思い出してしまった。




記憶の片隅にある、爽とよく似ている。




「そういえば名前…」




「爽理(あきり)って言うの。爽が…つけたかった名前なんだって」




爽と理緒、二人の名前が入った子ども
爽は…二人の証として、残したかったのだろうか。




「爽理は…彼に似てる。面影も…性格も。彼が望んでいた通りに成長してるわ」




「…喜んでいると思います」




爽の笑顔が目に浮かぶ。
理緒が育ててくれたことに感謝していると思う。




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