Sion
それが幸せで嬉しいけど…少し恥ずかしかった。
まるで傍にいるって言われているようだった。
「…理緒さんもそうだったんでしょう?」
と、那由汰は自分たちのことから理緒のことへと話をそらす。
「さぁ、どうだったかしら」
その話を理緒は笑顔で話を深く話そうとしなかった。
那由汰もそれ以上深く追及しようとはしなかった。
思い出は誰にも話さない。
自分の胸の中に仕舞っておきたいということなのだろう。
それぞれに幸せの形がある。
どんな形かは本人達が知っていればいい。
ほかの誰にも言う必要なんてない。
本人達が覚えていれば、それだけでいいのだ。