Sion
幸せな時間
「…なゆ兄」
部屋から爽理が小走りでリビングに来た。
那由汰は『あぁ』と振り返った。
少ししゃがみ、軽く爽理の頭を撫でた。
「ごめん。飲み物入れてもらってた。ここで飲む?」
コクりと爽理は頷く。
そんな爽理が少し那由汰に似ていると希愛は感じた。
理緒は笑顔で飲み物を机に運ぶ。
爽理はソファーにボスッと座った。
「なゆ兄、ここ座って」
手で爽理は自分の隣を叩く。
那由汰は軽く微笑んだ。
「うん」
そんな二人を見て、理緒さんは嬉しそうに笑う。
「爽理…那由汰さんが気に入ったのね」
「お母さん、すごいんだよ。なゆ兄のピアノ」
目をキラキラさせて爽理は話す。