Sion
理緒さんは嬉しそうに聞きながら、ソファーに座った。
「凄く上手いんだ。興味なかったけど、なゆ兄のは好き」
「那由汰さんはピアノを弾くのね。でも、此処にピアノは…」
「爽理のピアニカを借りました。こっちまでは聞こえなかったんですね」
ピアニカでも那由汰はいつもどおりのピアノを弾ける。
本当にすごいなと希愛は思った。
那由汰のピアノを希愛はなんども聞いた。
だけど、何度聞いても那由汰のピアノは感動する。
心の中にすぅっと入っていく。
胸にじんわりと広がっていく。
聞いていてとても温かくなる。
爽理もそれを感じたのだろうか。