Sion
理緒は爽理に思っていて欲しかったのかもしれない。
爽のことをずっと…。
「理緒さん、一緒に暮らそう?迷惑なんて思ってない。嫌とか…かわいそうだから…そんなんじゃないの。
私は…理緒さんと爽理くんと一緒に暮らしたい。…ダメかな?」
希愛は首を傾げる。
そしてゆっくりと理緒に手を伸ばした。
理緒と前のように戻れたとき、すごく嬉しかった。
こうやって過ごせる日々がキラキラと輝いていて…
ずっと辛かった。
ずっと悲しかった。
不安で…でも弱音なんか吐けなくて…
そんな理緒を今度は希愛が支えようと思った。
爽の代わりに。
爽だって理緒が笑顔になることを望んでいるはずだから…
辛い顔なんて無理していて欲しくないと思っていると思うから…
「理緒さん、一緒に暮らそう」
この手を差し出す。
理緒さんは力が抜けたように微笑む。
握った手は冷たかったけど、心はとても温かかった―――。