Sion
そして放課後、那由汰は理緒と爽理の引越しを手伝ってくれた。
男手があるおかげが予定よりも早く終わった。
理緒は手伝ってくれた那由汰にぺこりとおじぎをした。
「那由汰さん、ありがとうございます。おかげで助かりました」
「暇ですから」
そう言って那由汰は微笑んだ。
爽理は嬉しそうに那由汰の腕にしがみついた。
「なゆ兄、終わったら僕の部屋で遊ぼう」
爽理を優しい目で見下ろし、頭を撫でた。
「…終わったらな」
「約束」
そう言って爽理は小さな手の小指を差し出した。
那由汰は微笑み、その小指に自分の小指を絡ませた。
その光景が微笑ましくて、思わず笑みが浮かぶ。
理緒も嬉しそうにその光景を眺めていた。