Sion
元々那由汰がそういう人だというのは知っている。
湖季もそう言っていたから。
だから、驚いた。
急にどうしたんだろうって。
でも、断る理由なんてない。
希愛はこくりとうなずいた。
「…うん、行きたい」
那由汰は満足そうに微笑む。
嬉しそうに希愛を手を優しく引いた。
那由汰の家に行くまで二人は何も話さなかった。
気まずかったのではない。
少し恥ずかしくてもどかしくて…
そんな空気が二人の間にしばらく漂っていた。