Sion




元々那由汰がそういう人だというのは知っている。
湖季もそう言っていたから。




だから、驚いた。
急にどうしたんだろうって。




でも、断る理由なんてない。




希愛はこくりとうなずいた。




「…うん、行きたい」




那由汰は満足そうに微笑む。
嬉しそうに希愛を手を優しく引いた。




那由汰の家に行くまで二人は何も話さなかった。
気まずかったのではない。




少し恥ずかしくてもどかしくて…
そんな空気が二人の間にしばらく漂っていた。




< 258 / 303 >

この作品をシェア

pagetop