Sion




希愛がそう言うと、弓音は別の人の名を出す。




「じゃあ、優愛は?藤花 優愛」




「あ!知って…ます…」




二度くらい会ったことがある。
一度目は助けてもらった。凄く優しい一面を見た。
二度目は背中を押された。強い一面を見た。




あれ以来、優愛には会っていない。
デビューしたけど、元気なのだろうか…。
と、少しだけ優愛の記憶が蘇る。




「お知り合い…なんですか?」




「ゆづの紹介でね。弓弦は優愛のマネージャーっていうか。…一緒に来る?」




「…えっ!?」




行ってもいいんだろうか。
ただでさえ、この空間にいるのが邪魔なような気がするのに。




ちらりと那由汰を横目に見た。
那由汰は穏やかに微笑んでいる。




< 267 / 303 >

この作品をシェア

pagetop