Sion
希愛がそう言うと、弓音は別の人の名を出す。
「じゃあ、優愛は?藤花 優愛」
「あ!知って…ます…」
二度くらい会ったことがある。
一度目は助けてもらった。凄く優しい一面を見た。
二度目は背中を押された。強い一面を見た。
あれ以来、優愛には会っていない。
デビューしたけど、元気なのだろうか…。
と、少しだけ優愛の記憶が蘇る。
「お知り合い…なんですか?」
「ゆづの紹介でね。弓弦は優愛のマネージャーっていうか。…一緒に来る?」
「…えっ!?」
行ってもいいんだろうか。
ただでさえ、この空間にいるのが邪魔なような気がするのに。
ちらりと那由汰を横目に見た。
那由汰は穏やかに微笑んでいる。