Sion
兄妹
スタジオに入ると、ひとりの男の人が出迎えてくれた。
弓音の姿を見ると、嬉しそうに口元を緩ませる。
「ゆの、久しぶり」
弓音も口元を緩ませ、微笑む。
「ゆづ、電話で話したばっかでしょ?」
「会うのは久しぶりだろ?元気そうで良かったよ」
「ゆづもね」
微笑み合う二人を希愛は交互に見た。
兄弟と言っていたが、あまり似ていない気がする。
弓弦も弓音も整った顔立ちをしているが、そっくりというわけではない。
何となく似ているところもなく、兄妹と言われても分からない。
「ゆの、しばらくこっちにいるんだろう?」
「うん。なゆの家に泊まらせてもらうし」
弓音がそう言うと、弓弦は驚いたように那由汰を見る。
「意外だな。そんなことをするようなタイプじゃないのに」
「…ゆのだからだよ」
と、那由汰はどこか素っ気なく言った。