Sion
希愛は思わずぺこりと軽く頭を下げる。
「希愛です。花澤…希愛…」
「なゆの彼女?」
と、弓弦は希愛を指差し那由汰に顔を向ける。
弓音はその指をぺしっと叩いた。
那由汰は肩をすくめる。
「…そうです」
弓弦は興味津々に希愛を上から下まで見る。
そして、ニッコリと微笑んだ。
「音羽 弓弦です。うん、なゆの彼女っぽい」
「…何言ってるんですか」
と、那由汰はため息をつく。
希愛を隠すようにそっと体を動かした。
「お似合いってことだよ」
弓弦は笑みを崩さずに言う。