Sion
部屋を見渡していた希愛は勉強机に置いてあった写真立てに目を留める。
そこには小さな男のこと女の子が笑っている写真が飾ってある。
その小さな男の子には見覚えがある。
那由汰だ。
今とは違い、幼さを感じる。
そして、小さな那由汰の隣に写っている女の子。
この子は…
「…ゆの、だよ」
パタンと扉が締まる音がする。
振り返るとお盆を持った那由汰が立っていた。
那由汰は机に紅茶を置き、床に座る。
「それは7歳くらいのときの時にとった写真。こっちに引っ越す前だったかな」
「弓音さんと…ずっと一緒だったんだ」
「まぁ…一緒の音楽学校に通ってたし。生まれた時から一緒で…幼馴染みたいな感じだったかな」
だからだったんだろうか。
二人の空気は周りを寄せ付けない。
二人だけの世界といった感じで、誰にも入らせないようにしている。