Sion
でもそれはまた幼馴染だから…ではないみたいだった。
「那由汰って…引っ越す前はどこに住んでたの?」
「……フランス」
希愛はパチパチと瞬きをした。
あまりに自然に出てきたから、一瞬耳を疑ってしまった。
「フランスに7年くらいいたかな?元々親の仕事の関係でいて…ゆののところもそうだったみたいだけど」
「じゃあ…フランス語しゃべれるの…?」
「あと英語。7歳まで向こうの学校にいたしね」
話についていくのがやっとだ。
那由汰がこうやって過去のことを話すのは珍しい。
だから今のうちに聞いておきたいと思った。
だけど、聞けば聞くほど那由汰のことがわからなくなる。