Sion
希愛はぼそっと呟くように言う。
「弓音さんと…付き合ってたの?」
一番聞きたかったこと。
口に出すと涙がでそうだった。
那由汰は目を丸くする。
「…なんでそんなことになってんの」
「だって…仲良くて…ずっと一緒にいて…家にも泊めてる。好きだったのかなって…」
希愛の言葉に那由汰は肩をすくめる。
大きな手が希愛の頭を撫でた。
その手はとても温かく、でそうだった涙を止めた。
「不安にさせてごめん。…少し話そうか」
那由汰はゆっくりと話し出す。
日本へと引っ越す前、弓音とのことを―――。