Sion
だけど、引越しする直前打ち明けてしまった。
離れてしまうとなったとき、どうしても伝えたくなってしまった。
那由汰が打ち明けたとき、弓音は涙を流していた。
そして、ふわぁっと花が綻んだような笑みを見せた。
『…好きだよ、なゆ』
その『好き』が那由汰はよくわからなかった。
恋なのかそれとも友情なのか。
それは伝わらなかったが、後悔はしなかった。
音楽をしていれば、いつか会えると思ったから。
「で、そのまま日本に来た。だから別に何もないんだよ」
そう言って那由汰は紅茶を啜った。