Sion

だからこそ、関わって欲しくなかった。
もう…大切な人を希愛は失いたくなかった。




だから希愛は拒もうとした。




だが、那由汰は拒む希愛に首を横に振った。
目を細め、優しく微笑む那由汰の姿が希愛の瞳に映る。




そして、那由汰は言ったのだ。




『俺がそうしたいんだから、誰にも文句は言わせない』




その言葉はとても力強く感じた。
だから、希愛は何も言えなかった。




ただ驚くばかりだ。
目の前にいる、那由汰の姿に。




何ども希愛は感じていた。
那由汰に出会った時から。
那由汰はほかの人にはない、不思議な雰囲気をまとっている。




だが、その雰囲気はとても温かく優しい。
希愛に向ける笑みと変わらなかった。