Sion
お似合い
入学式から一ヶ月が経った。
満開だった桜は散り、葉が綺麗な緑色をする。
ただ暖かな陽気が過ごしやすい。
クラスはこの日、体育祭に向けて決め事をしていた。
「体育祭で出たい種目を書いてください!一人一種目は必ず出ること!」
黒板の近くで律花が声を上げる。
律花はクラスの学級委員に任命された。
そのせいで希愛と帰る時間が合わなくなってしまった。
律花はそのことをいつまでも引きずるとように話していた。
ツンツンと希愛の肩を誰かがつつく。
希愛が首を横に向けると、机を腕にだらけさせ、顔を寄せる那由汰の笑みが希愛を見ていた。
『希愛は何出る?』
那由汰は今も丁寧に希愛に向かって手話で話す。
面倒だから、普通に話していいと言っても、那由汰は変えなかった。
希愛に合わせてくれているみたいで、少し嬉しかった。