Sion




その小さなつぶやきを律花は聞き逃さなかった。
さっきよりも鋭く、那由汰を睨んだ。




「変なのはあんたよっ!」




「まぁまぁ、巴さん。今は体育祭のことを決めなきゃいけないだろ?」




湖季は律花をなだめる。
律花は『そうね』と湖季の言葉に従ったが…




「じゃあ、嘉島くんは300m走と高跳びとリレーね」




と、湖季の名前を黒板に書き込む。
それを見て、湖季はがたっと立ち上がった。




「それはないでしょ~」




「え?優しい嘉島くんならこれくらい余裕でしょ?」




と、律花は挑発するような笑みを見せる。
湖季はそれ以上を言うのをやめ、静かに座り、肩をすくめた。




「巴さんの為に大人しくやりますよ~」




ふふっと律花は満足げに笑う。




そんな二人はまるで付き合っているかのようだった。
湖季を上手く扱う律花。そんな律花を嫌とは思わず、接する湖季





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