Sion
幸せ
体育祭の種目を決め終わると、那由汰の姿はどこかへ消えてしまった。
希愛は不思議に思いながら、那由汰の机をただ見つめる。
そんな希愛に律花は声をかけた。
「希愛」
律花の呼び声に希愛ははっとする。
首をかしげてみると、律花はふぅっとため息をついた。
「…気になるの?あいつのこと」
律花の言葉に希愛は目を丸くする。
その言葉に何も答えることができないでいると、律花は肩をすくめた。
「分かるよ、希愛のことくらい。ずっと…ずっと一緒に居るんだもの」
そう…律花は少し寂しそうに話す。
律花は言葉を続けた。
「…好きなの?」
その言葉に希愛は胸に手を置く。
それでも…自分の想いは分からなかった。