Sion
律花は『馬鹿』と湖季を睨んだ。
「話を変えないでよ」
「ん?何の話をしてたの?」
きょとんと湖季は目を丸める。
律花はとんとんと那由汰の机を叩く。
すると、あぁと湖季は納得する。
「那由汰なら特別棟じゃないのか?」
「特別棟ってあたし達入れないじゃん」
律花が言うと『あいつは特別なんだよ』と湖季は肩をすくめる。
そういえば、一度入ったことがあると希愛は思い出していた。
あの時、那由汰に連れられて入った。
そのときに那由汰は鍵を持っていた。