Sion
あれ以来、理緒とは会っていない。
もう…6年も経つ。
『理緒さんは…死んでも私を許してはくれないでしょう…』
許して欲しいとは思っていない。
ただ…少しでも昔のように戻れたら…。
この願いが叶うのはいつだろう。
もしかしたら、一生叶うことはないかもしれない。
希愛は爽に何も伝えられなかった。
『おめでとう』の言葉も、『大好きで大切だった』という言葉も。
今でも胸に残っている。
希愛を庇って事故に遭った時、爽はうっすらと笑みを浮かべていったのだ。
『希愛を守れてよかった…』と、。
爽は自分のこれからよりも希愛の未来を選んだのだ。
それでも希愛の未来は暗く陰っていた。
道しるべのようだったのかもしれない、爽の存在は。