Sion
爽の存在はとても大きかった。
もう…ああいう人は二度と現れない、そう思った。
だけど…希愛は出会った。
爽に似てとても大きな優しさと温かさを持った人
それが奏 那由汰
まだ一ヵ月しか過ごしていないが、感じている。
那由汰は…爽にとてもよく似ているのだ。
希愛は爽と同じように那由汰を失いたくなった。
少しでも距離を置きたい。そう思っても、心はそうはいかなくて…
もっとそばにいたいと思ってしまう。
『お願い…居なくならないで…』
もう誰も失いたくない。
希愛自身のせいで『光』を消えさせたくない。
ハラハラと希愛の目から涙が流れる。
そんな希愛の背中から那由汰はぎゅっと大きな腕で希愛の体を包み込む。
「…傍にいるよ、希愛が望む限り…ずっと」
その言葉だけで心が温かくなる。
心の影にゆっくりと光が差し込む。