Sion
希愛は最も揺れていた木々の方を見つめた。
そんな希愛の視線の先に気がついたのか、律花もそちらの方に目を移す。
「誰?」
律花が揺れる草木に声をかける。
すると、草木をかき分け、一人の男の子が姿を現した。
あっと出ない声を出すように口が開く。
希愛の視界に入っているその男の子は、希愛が見た中で一番綺麗な男の子だった。
男の子に『綺麗』という表現はあまり良くないかもしれない。
だけど、その男の子には『綺麗』という言葉が似合っているような気がした。
薄く淡いサラサラとした白に近い髪
瞳も色素が薄い茶色
少し焼けた肌
長い手足
モデルのような容姿だった。
雰囲気も周りとどこか違う。
広い世界で一人だけ際立った魅力があるような気がした。