Sion




それでも強くいれたのは…律花が居てくれたから。
律花が居なければ、今の自分はここにはいない。
本当にそう思う。




だから…




『律花…笑顔でいて?私…律花には笑顔でいて欲しい。律花の強い笑顔が私に力をくれるの』




希愛の言葉に律花は目を丸める。
まさか、希愛からそんな言葉が聴けるとは思っていなかった。




静かに目を閉じる。
希愛を変えてくれたのは…多分…




その人をそっと目に浮かべ、ふっと微笑む。
目を開けて、小さく頷いた。




「…ありがとう、希愛。でも…あたしより笑顔で居て欲しい人が他にいるでしょう?」




律花の手が希愛の頬に伸びる。
希愛はきょとんと目を丸め、首を傾げた。




「…早く気づかないと…誰かに盗られちゃうよ?」




クスリと微笑み、律花はその場を去ろうとする。
その服の裾を希愛は思わず掴んだ。




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